らうーるの詰将棋置場
詰将棋を作ってみたりそうでなかったり。
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入選作解説 詰パラ平成24年7月号 短大4番
結果稿でなぜか「短9」になっていますが、短4ですね。私もこれを書く直前に気づいたわけですが。
さて、意外に好評(?)だったこの作品。まずは問題図を再掲します。

BANT046b.png

解答者数 52名
A:36 B:14 C:1 誤解:1 無解:7 平均点:2.68

入選8回目。初めての短大進出です。手順を見るといかにも逆算というのがわかるのではないでしょうか。

初形ですが、なんだか実戦で端に追い詰めたような形をしています。パッと見た限りでは、25角26香のバッテリーがあり、27歩がいかにも怪しげな配置をしています。現在のところ玉の逃走ルートは24~35~44、および24~15~26のコース。このルートを塞ぎつつ、角香が働く形に持っていくのが序の課題となります。

①35角(同歩は23金以下詰み)には、24香合、23金、同銀、同と、同玉以下逃れ。
②22角、24玉、23と、同銀、35金(同玉は36金、24玉、34角以下詰み)は、15玉で続かない。

これらの筋ではうまく行かないのですが、ベタッと23金と捨てるのが唯一手が続く手段です。同銀でとらせて44を塞いで22角。上部脱出をこれでとりあえずは防ぐことができたので、23の銀を同玉でとって、ひとまず上部脱出は防がれたように見えます。

この瞬間、つまり玉が23にいる瞬間は、14角の両王手がちらつきます。ここでもすぐに14角で詰みそうですが、同玉と取られると意外に手が続きません。24金としても15~16と潜られてしまいますし、代えて25銀ともう一度下に落としても、23玉に(1)24銀は、22玉、23銀成、31玉。(2)33金は12玉、24桂、21玉。どちらも43の銀が利いて逃れています。

すぐに14角は無理だということがわかりました。そうなると、何か条件を良くしてから14角を決行するわけですが、ここからの手順は作者のお気に入りの応酬です。一気に手順を並べます。

35桂!、24玉、13銀!、同香、23桂成!、同玉、14角!、同玉、13角成!、15玉、14馬!、同玉、16香!

実はこの時点で急所となる駒は香車となっています。1筋におびき出して金と香さえ持っていれば詰む形。そこで角角銀桂の4枚を捨ててでも11にいる香車を強奪しに行く手順となるのです。実際に取ってはくれない手が2つあるとはいえ、7連続の捨駒ラッシュは解答者にとって胸のすく手順になったと思います。

最後は金打ちから一階限りのエレベータで清涼詰となります。不動駒4枚で、全て捌けたというわけではないですが、ほぼ43銀の一枚でよくまとまったと思っています。

この作品を投稿するにあたって、最大の悩みどころは序の6手の必要性でした。23金は一応捨て駒であるとはいえ、ベタッとした角打ちに駒取り。お世辞にも筋がいい手順とは言えないところで、次からの狙いとなる手順とのアンバランスも気にかかります。実際、事前に会合などで評価をしていただいたときも、否定的な意見が多かったように思います。それでもこの6手を付け足したのには理由があります。

1つは邪な動機で、中編の手数にしたかったこと。今年の目標と書いた「明確な狙いのある中編以上の作品」を明確な狙いがあるかどうかはともかく、ひとまず達成しておこうというわけです。

もう1つが私の個人的な信条なのですが、「自作については初手桂打はできる限り避けたい」という理由です。
逆算創作をされた方ならわかると思われますが、持ち駒の桂というのは逆算する際に非常に便利なアイテムです。「〇〇桂打、同〇」で守備駒をずらす手だけで2手逆算に成功するケースは多くあります。
その一方で「桂があったら打ってみよ」という解図における格言があります。上述のことを考えれば至極もっともなことで、もし逆算で作られた作品であるならば、この定番ともいえる手段で手を伸ばしている可能性は高いです。しかし、それを解答者に実践されてしまうと、たとえその「初手桂打」に深い含みが込められていたとしても、解図時にはその意味を考えてはもらえず、「ああ、初手はこのためか」と後付けで考えられ、その価値が軽んじられてしまうように感じるのです。場合によっては「ああ、解けた」とそのまま素通りされてしまうかもしれません。
本作においても、仮に7手目35桂からの17手詰とし、解図者に「とりあえず35桂を打ってみよう」と決めつけられて解かれてしまうと、14角の紛れなどはいわゆる「検討用の紛れ」と同価値になってしまいます。この紛れを少しでも考えていただければ、銀桂を捨ててでも香を釣り上げてから14角と出る作意との対比がより鮮明になるものと考えました。そのためにも「初手桂打」をカモフラージュする序の6手を入れておこうと考えたのです。
うまく言葉にできないところがありますが、要は「初手桂打だと、ありきたりでつまらない」という感情にもっともらしい論理を付け加えたようなものです。

もちろん他の初手桂打から始まる作品を否定するわけではありませんし、私自身も困ったら多用する技ではあります(初入選作も初手桂打だったし)ので、逆算しかできない作家の偏屈なこだわりと思って聞き流していただければ幸いです。

それにしても、この序の6手にはやはり否定的な意見がつくだろうとばかり思っていたので、この評価点には驚かされました。この捻くれた発想が少しでも実ったのであれば良いのですが。

話は変わって。
それにしても石黒さんの解説はすごい。もうこのブログでわざわざ自作解説を書く必要はないのかも!?と思ってしまうほどの丁寧な解説でした。改めてありがとうございました。

さて、半期賞をとった高校の自作と、本作。これらと私の過去の作品を見ていただくとわかるのですが、過去において私は香という駒の使い方が下手で、香が活躍する作品は入選1回目~5回目では一つもなかったのです(使っている香車の数ですら5回目まででたったの2枚。しかも2枚とも守備駒だった)。最近はできる限り香が主軸となるような形を意識して作っていますが、中合を出すなどには程遠く、もっと香車という駒のことを勉強しなければいけないと感じる今日この頃であります。

なんだかグダグダとしてしまいました。今月号には私の作品はないので、次回の入選作解説は4ヶ月後になりそうです(汗)。

もしかしたら、過去の入選作についても簡単にまとめ記事を書くかもしれませんが。
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短大4番
35桂以下の手順は二枚角を捨てて悪くはないですが一直線なので、
23金から始めて正解でしょう。
初手35角にかなり惑わされました。
2012/10/08(月) 06:14:21 | URL | EOG #- [ 編集 ]
本作が2.68を取ったことについては、失礼ですが正直少し驚きました。ただ全体的に感じのいいというか、きれいで誰にも嫌がられない作品なのでこれくらいの点数になったと思います。
さて序の6手ですが、絶対に入れるべきです。駒取りとは言ってもぼんやりしていず、質駒化した銀を間を置いてから取る感覚はよく、何より紛れがあります。というより17手では僕はおそらく採用しません。(ごめんなさい!)
これはこれで完成品だと思いますよ。^^
2012/10/08(月) 11:35:51 | URL | 宮原航 #- [ 編集 ]
短大4
水谷さんの特徴は筋が良い、そして指し将棋の力がある。
そのバランスが絶妙です。
筋が良いだけでは簡単に解けてしまいます。
力が強いだけでは紛れを読んでいて面白くなく不快になってしまいます。
紛れ手順も筋が良く読んでいて楽しいのが水谷さんの作品の良いところ。
この作品そんなに優れた手順でないのに高評価なのは、絶妙のタイミングで手が出て来るからでしょう。
自分の創作力に自信を持っても良いと思います。
と言うかすでに羨ましがられていますよ。

初手桂打ちの論考楽しく拝見しました。
僕も同じ事を考えていた時期がありました。
現在はその考えは全くないですね。
形を整える逆算は俗手だろうと桂打ちだろうと構わないと言う事です。
例えば空間を空けるための桂打ちは無いと嫌な形をしているはずです。
初手が伏線的妙手なら当然初手にならないようにはしたいですけどね。
2012/10/08(月) 20:59:17 | URL | 三輪 勝昭 #- [ 編集 ]
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